著者: エイム研究所 矢野 弘
売れない物を売ろうとするのではなく売れている物をより改良して、より売れるようにする。悪いところを改善しても良くなるとは限らない。普通になるだけ。当然と思われるだけ。普通までいかないから悪いと言われるのである。だから悪いのを改善しても普通になるだけ。
<売上を伸ばす>
新製品開発は誰でもできる。営業マン,製品設計者,社長などなど。とくに何が売れそうかマーケティング調査がへたな営業ほど1台でも売上を上げたいのでフルラインアップを要求し品数をどんどん増やす。売り上げ主義の営業の商品開発ほど品数が増える。
<売れ!>
『下手な鉄砲数打ちゃ当たる』で当たればよいが、『下手な鉄砲打ちゃ玉切れ』で、お手上げ状態になり降参が倒産となってしまう。
いくら品数を増やしても増やした分、比例して売り上げも増えるかといえばぜんぜんといっていいほど増えない。似た製品に押し並べられるだけで、逆にお客を惑わすことになる。
品番を増やすと設計の仕事が増え満足に検討せず量産に移り、品質のトラブルが多発し、設計遅れで商機を逃したと営業が文句をいったり、金型代も量産効果がでないので原価が下がらず、営業も見栄で風呂敷を広げた分、欠品があってはカッコワルイので在庫を多く持つが外れるため在庫が増えて資金繰りも悪くなる。部品調達や生産調整も複雑になり、品種増加でサービスもままならず、製造も段取り替えが増え、ムダがムダを生んで、結局、売れても利益がでず価格競争に勝てず、お客が逃げてしまう。
じゃあ、あまり売れないからといって営業担当や部長がかってに売るのをやめたり、設計が廃止したり、製造が造るのをやめたりなど、『そんなことは滅相も無い』と責任のとれる行動など出来るはずが無い。
生むのは簡単だが悪い事をしたからといって自分の子を殺す事などできない。じゃあ殺せる(販売中止)のは誰かというと、それは『お上の仕事』なのである。
社長以下役員会で『新しいものを開発しろ』ばかりでなく、死に筋を常に把握し『もー、これは売るな!』と死刑宣告しなければ各部署はだらだらと売れないものを売り歩き続けることになり、生まれた品番は亡霊のように残り、品番増加の悪循環に陥ってしまう。
<売るな!>
毎月の役員会での必須議題の一つ
『新しいものを生むときは売れないものを殺すこと・・・これは売るな!』
なぜ売れなかったのかを分析し、売るのをやめないかぎり責任ある新生はない。